とんでもないことになってしまった。
東北の被災者たちは口を揃えて「夢であってほしい」という。
私だってそう思う。
あまりに3月11日までの平和な日々と、それ以降が違いすぎる。
本当の悪夢だ。
何万人という人々が一瞬のうちに命を落とした。
津波の強大な破壊力によってぐしゃりとつぶされた保育園バス。
探し続けたのだろう、冷たくなった幼いわが子をその中に見つけ、
なすすべなく頭をなで続ける母親。
胸が押しつぶされる。
震災時、東京は震度5強という発表だったが、
実感としてその程度だったとはとても思えない。
実際、これまでも震度5クラスは何度かあったけれど、
大きさも長さも被害も比較にならない。
震災時、私自身はビルの4階にあるスポーツジムにいたのだが、
とても立っていられる状態ではなかった。
長さも10分は続いただろうか。
目の前でひっくり返ったように波打つ25mプールを、
ベンチにすがってただ息を呑み、
身体を震わせて凝視するしかなかった。
そして。
被害は地震によるものだけでなく、原発事故が追い討ちをかける。
いつの間に、政府と電力会社は数十基にもおよぶ原発を全国に作っていたのだろう。
かつて日本は被爆国として、放射能の恐ろしさを骨の髄まで知っていたのではなかったのか。
今思えば、事故直後の放射能による空気汚染など、ただの幕切れにすぎなかったのだ。
東京都の水道水から基準値を超える放射能物質が検出され、
乳幼児の取水制限が出された会見をTVで見たときは、腰が抜けた。
「まさか」
そのまさか、はその後、牛乳、野菜、魚介類へと拡大していった。
おかげで日本は今、世界で最も安全でない国の1つだろう。
“環境立国”を足元から崩壊さす原発事故。
そもそも原発は地球温暖化を防ぐキーワードだというのだからあきれてものが言えない。
一度大事故が起これば、何十年に渡って周囲十キロ四方が廃墟となり、
生態系に毒を撒き散らす原発が「環境に良い」という論拠がいつ通るようになった?!
廃棄された核燃料は、その後何万年に渡って猛毒のプルトニウムを放ち続けるのに、
それを地球のどこか地中深くに埋めて“処理”するというのが、
サステナビリティだというのか。
アホか。
その案を発案する者、実行しようとする者に問いたい。
その真上に、自分の子供を住まわせたいか、と。
ふざけんな。
でも。一番驚くのは、それでも原発反対の声が日本で上がらない、と言う事実。
安全な水に食べ物、土壌に空気。
すべてが奪われ、子供の未来にも大きな陰を落としているのに、
現在日本のTVで流れるのは「大げさに騒ぎすぎ」というキャンペーン。
怒りの声は聞こえてこない。
放漫な危機管理しか行ってこなかった東電の落ち度は明らかなのに、
それでも原発は必要、という暗黙の了解があるかのよう。
誰も「原発は危険。これ以上はまっぴらごめん」とは言わない。
なぜ?
本当は、電力供給は、火力と水力だけでまかなえているはず。
今、電力不足なのは、原発がやられたからではなく、
火力発電所が数ヶ所以上被害を受けたからだ。
恐らく価格変動が激しい原油の輸入総量を減らしたいのだろう。
でも、本当に目的がそれだけなら、
原発数十基にかける兆をはるかに超える資金を、
ドイツのようにソーラーパネル設置の補助金に回したらどうなのか。
もちろんソーラーパネルは発電所のように電気を生み出すわけではない。
しかし、ほとんどの住居が、特に電力を使用する真夏に「自家発電」で電力をまかなえるなら、
電力会社が供給する総電力量は確実に減少するだろう。
夜間や天気の悪い日のみ、電力会社の供給に頼れば良いのだから。
しかし、日本では話こそ上がるものの、実際に政治が動く気配はない。
やっぱり安全より、目先の金なのだろう。
こんな恐ろしい世の中に、子供たちを送りださねばならないとは本当に憂鬱だ。
今の日本人は皆、羽をもぎ取られた蝶のように見える。
首をうなだれて、放射能ですら与えられた試練として共に生きて行こうとする。
今日、NHKでは「放射能汚染されたほうれん草をいかに食べるか」をレクチャーしていた。
冗談じゃない。
狂ってる。
誰か、私の感覚は間違っていないと言ってくれ。
「サマータイム・ブルース」(歌:RCサクセション/オリジナル作詞作曲:E. Cochran & J. Capehart/替え歌作詞: 忌野清志郎)
暑い夏がそこまで来てる
みんなが海へ繰り出していく
人気(ひとけ)のないところで泳いだら 原子力発電所が立っていた
さっぱりわかんねぇ 何のため?
狭い日本のサマータイム・ブルース
熱い炎が先っちょまで出てる
東海地震もそこまで来てる
だけどもまだまだ増えていく 原子力発電所が建っていく
さっぱりわかんねぇ 誰のため?
狭い日本のサマータイム・ブルース
あくせく稼いで税金取られ
たまのバカンス、田舎へいけば
37個も建っている 原子力発電所がまだ増える
知らねぇうちに漏れていた
あきれたもんだなサマータイム・ブルース
寒い冬もそこまで来てる
あんたもこのごろ抜け毛が多い
それでもテレビは言っている 「日本の原発は安全です」
さっぱりわかんねぇ 根拠がねぇ
これが最後のサマータイム・ブルース
電力は余ってる
いらねぇ もういらねぇ
電力は余ってる
いらねぇ 欲しくねぇ
電力は余ってる
危ねぇ 危ねぇ
電力は余ってる (原子力は必要ねぇ)
いらねぇ 欲しくねぇ (いらねぇよ 必要がねぇ)
電力は余ってる (余ってるんだってよ)
いらねぇ もういらねぇ (電力会社は儲けてる)
電力は余ってる (危ねぇ)
危ねぇ 危ねぇ (危ないぞ 危ないぞ)
電力は余ってる
いらねぇ もういらねぇ (癌になりたくねぇ)
電力は余ってる (危ねぇ)
いらねぇ 欲しくねぇ (俺は癌で死にたくねぇ)
電力は余ってる
危ねぇ 危ねぇ
電力は余ってる
危ねぇ 危ねぇ
(君の 君の 君の 君の子どもが欲しいなー僕
ベトちゃんドクちゃんみたいじゃない子がいいなーときた)
(危ねぇぞ! 危ねぇ!)